最近はやっているスローガン「次工程はお客様」

スローガンであったり、社是であったり、行動指針などで主張している事は、ちょっと斜に構えてみますと「現実にはそれができていないんです」と言っている事に他なりません。
ですから、標題の「次工程はお客様」」とか「常にお客様の身になって考える」とか「わが社は学閥などありません。実力主義です。」なーんていうことは奇麗事にすぎません。
だから企業選びは雑誌等に掲載されている文言を真に受けてはいけません。

じゃあどうすればいいかって。その前に言っておかなきゃならない事は、上で述べたスローガン通りにできている企業は一つもないといっても過言じゃないのが現実なんです。
どこの企業もできていないことを悔やんでもしょうがない事です。ただし程度があることは憶えておいて下さい。
出来栄えといいますか、優・良・可・不可はつけられます。もちろん優が多い企業は社会的にはすばらしい企業といえます。
しかし、そんな優秀な企業があなたにとって良い会社とは限りませんよ。
だって企業は人間の集団なんですよ。男女の関係のように相性によって、その会社が良いか悪いかが決まると思います。

ちょっと解説

「次工程はお客様」とは

お客様に対応するのは営業の仕事です。しかしながら、メーカーであれば商品をお客様に販売する前には様々な工程があります。(開発、製造、販売のラインとラインを支えるスタッフ(経理、総務、企画、マーケテイングなど)があります)

そのそれぞれの工程で、次の工程に受け渡す時にお客様に接するように責任をもって仕事を引き継げば、風通しの良い環境になるし、社員全員がベクトルを合わせた形で問題にあたれ、結果として競合より優れた製品、保守体制、マーケテイング、販促策が世に出せ企業としてかなりのプラスになる為に打ち出されているスローガンです。

本当に実践できていれば言う事ないのですが、実際は組織ごとに様々な利害関係がありなかなかうまくはいっていません。
最終工程の営業である俺たちは、体外的な折衝やクレームの窓口ですし、反対に売れた時の栄誉も大きい、ハイリスク・ハイリターンの状況になっています。

営業では次工程は文字通りお客様でありかつ、自分の仕事に責任を持たされるケースが多い(販売量、金額など数字で表し易いため)ので頑張れるし頑張らされるのですが、営業の前工程の方々にはっきり申し上げよう。
企業の目的は利潤を上げ拡大しながら永続的に存続することであるので、売れない商品、競合に負ける商品、競合に負けるマーケテイング等々をしていちゃだめなんですよ。いくら一所懸命やってても上記企業の目的に沿った動きをしていないのならXです。



「評価について」

企業では評価によって、賃金も役職も違ってきます。この評価というものは一般的にはあやふやなもので、差がつきやすい営業でさえその評価基準があやふやです。
営業の評価は「実績評価」「行動評価」に分かれます。そのウェイトは5:5です。
「実績評価」は数字で確定されるので問題ありませんが「行動評価」は非常にグレーな存在です。
言ってみれば直属の上司の裁量でどうとでもなります。(学生の君たちに置き換えると、「実績評価」はテストの得点で「行動評価」は「内申書」の点数といえます)

さてここからは、「内申点」じゃなくて「行動評価」がいかに大切かを検証しましょう。

まず、前提条件が「実績評価」+「行動評価」足して100点としましょう。
通常、「実績評価」は最低点が25点最高点が50点です。ですから売っているやつと売れないやつの実績面での差は25点しかありません。
「行動評価」はその採点基準はあるものの、定性効果であるためどうとでもなります。
極端な話、売れているやつの実績評価が50点であっても行動評価が24点だったら、売れてないやつの実績評価が25点で「行動評価」が50点とつけられたら総合評価で逆転してしまうんですね。これはおかしい。

なぜならば、企業の目的は上記のように、「利潤を上げ拡大しながら永続的に存続することである」であるので、利潤をあげる事に貢献した者に対してはそうでない者より優遇すべきなんですね。
営業成績は悪かったがそれはたまたまで、その行動、施策が優れており今期は恐らく売るであろうと思われるから、その売れないやつが行動評価で評価されていると思うが、それは売れていない救済策として行動評価を使うべきである。
総合評価はあくまでも売れているやつの下位に位置づけるべきだと思います
本当にその行動評価が正しいのであればその成果が近々あらわれるでしょうから。その今売れなかったやつはその時評価してやれば良いのではないですか。

誰だか忘れましたが戦国時代のとある有名な武将の部下の評価方法はさすがと思います。
武功をたてたものにはその褒章として金を与えよ、決して位を与えることなかれ」というような金言があったかと思います。
言ってみれば、仕事をこなす能力と管理する能力は違うということを言いたいのだと思いますが、上記例の場合は売っているやつが何も評価されない形となっており明らかに不合理な評価といえますね。
これも、日本の人事制度が位や役職と賃金体系が比例している方式になっているからです。つまり位や役職があがらないと賃金があがらないようになっているのです。
位や役職と賃金体系は分離すべきだと思います。