カーボンブラック編 カーボンですので黒い壁紙でいきます。 |
Q. 「カーボンブラック」ってなに |
A. 「カーボンブラック」は簡単に言ってしまうと「スス」です。「カーボンブラック」は数ミクロンという細かい粒子ですので加工しないとかさが大きすぎて輸送効率、保存効率が悪すぎます。カーボンブラックは1kgいくらと重さ売りしており、価格も安いのでいかに輸送効率を良くするかは大きな問題です。そこで、水を加えて仁丹状に固めて体積を小さくしております。 |
Q. 「カーボンブラック」は何に使われているの |
A. 80%以上はゴムの補強材として使われています。他の用途としては、インク、トナーなどに使われています。 従って、ここではメインの用途であるゴムの補強材としてのカーボンブラックについてご説明します。 もともと、カーボンとゴムの出会いは、ゴムを黒く染める染料としてカーボンが使われたことでした。ここで、発見がありました。 この黒く染めたゴムの耐久性が染めていないゴムに比べて高かったのです。 その結果、現在、ゴム製品の中にはほとんどと言っていい程カーボンが入っています。 |
Q. カーボンブラックはゴムにどんな特性を与えるのですか |
A. 「カーボンブラック」はいわゆる「すす」ですが、約50品種くらいあります。 ちょっと、科学的にお話をすすめます。 原子レベルでみるとカーボンブラックはC(カーボン)ですが、分子レベルでみますとかなり違います。大きく分けてその要素は2つあります。 カーボンは分子レベルだと丸い粒子であり、この粒子の大きさがミクロ単位の大きさですが違います。 今ひとつは、丸いカーボン粒子は何個かつながって鎖状になっています。ストラクチャーの長さが違うといいます。 カーボンブラックの品種はこの粒子の大きさとストラクチャーの長さの組み合わせです。 言って見れば、無数に組み合わせが存在しますが、製品のバラツキや、ゴムに与える有効な特性を考え合わせて、大体50品種位で品種の数は落ち着いています。 カーボンの品種によって、ゴムを硬くしたり、柔らかくしたりします。 タイヤを例にとりましょう。タイヤは一見型にゴムを流し込んで作っているようですが、実は全然違います。 タイヤを大きく分けると、地面に直接接触するトレッド部分、サイドの部分、ホイールと接触する部分にわかれます。 トレッドは地面との摩擦に強くする為にゴムを硬くします。サイドの部分は地面からの衝撃を吸収する部分で伸縮に強い特性のゴムを使用します。ホイールと接触する部分はタイヤの空気がもれない様に柔らかいゴムが使われています。 これらのそれぞれの特性を持ったゴムを張り合わせてタイヤはできているのです。 また、ゴムにそれぞれの特性を与えているのがこの、カーボンブラックです。 |
Q.カーボンブラックを作っているメーカー名を教えてください。 |
A.東海カーボン 昭和電工 三菱化成 旭カーボン などです。 |
Q.それでは、主にカーボンブラックを使用しているメーカーを教えてください。 |
A.なんと言っても一番使用しているのがタイヤメーカーです。 ブリジストン 横浜ゴム 東洋ゴム 住友ゴム オーツタイヤ タイヤメーカーはたくさんカーボンブラックを使用しますので、輸送方法は「バルク車」とよばれるタンクローリーみたいなトラックで輸送します。 次に使用されているのが、ゴム製品を製造しているメーカーです。 トヨタ合成 東海ゴム 三星ベルト 日東電工 大日化成 などなど数多くあります。 非タイヤメーカーの場合の搬送方法(一部はバルク車による納入あり)は、大口のお客様には「ゴムコンテナ」(約500kg入り)や袋詰め(約20kg)(セメント袋に似てます)されたものをトラックにて輸送します。 |
.Q.最後に、カーボンブラックはどのように製造されているのですか |
A.製造する原理は至って簡単です。クレオソート、エチレンボトム油等の炭素分の多い油を不完全燃焼させてできたススを集め、水で仁丹状に固めて乾燥させるといった形でカーボンブラックはできます。 ただ、原理は簡単なのですが、歩留まりをよくする技術、安定した品種を製造する技術はかなり高度なものが要求されます。 なにせ、カーボンブラックは不完全燃焼という極めて不安定な状況で製造されるものですし、発生は一瞬です。炉の大きさ、温度、炎の長さ、燃料の噴出量、酸素量、燃焼時間、等々の組み合わせ環境を科学的、経験的に蓄積されたノウハウで様々な品種を作るわけです。 一瞬芸をこなす難しさといえます。 とりあえず、これで炭素製品の基礎知識を終わります。中級編をご希望でしたら、お申し付けください。即連載します。 |