2008年富士登山(2008.8.9)
〜24回目の富士登山(御殿場口)〜



 
今回は素晴らしいご来光を
拝めることができました。



「バラ バラ バラ・・・」っと乾いた音をたてて突然、雹(ヒョウ)が降りだします。
雹は地面に当たって跳ねています。パチンコの玉より少し大きいやつも混じっている
大粒の雹で、体にあたると痛い。
それと同時に、ピカっと閃光が走ります。
1秒後「ドッカーんガラガラ」と雷鳴が轟きます。
もう、怖くて道端にしゃがみ込まざるを得ず、身動きがとれません。
しまいには、閃光が走ったと思ったら「バーン」という凄まじい音が辺りに
響きわたりました。
もう、いつ落雷にあってもおかしくない状況です。
「もはやここまでか・・・」



さて今回で24回目の富士登山です。
そして、何とか24回目の登頂に成功したことをご報告致します。

しかしながら、今回登る「御殿場口」は初めての登山です。
登り口から山頂までの標高差が他の登山口に較べて約1000m
多く登らなきゃならない、最難関の登山口がここ、御殿場口登山道なのです。



コース:8月9日AM3時40分 御殿場口登山道(標高1400m)発〜AM4時45分 ご来光
〜AM9時30分六合目〜AM10時00分七合目(日之出館)3100m
〜AM11時30分八合目(赤岩八合館)〜PM12時30分御殿場口山頂(富士宮口山頂)
〜PM1時00分 下山開始〜PM1時30分 9合目(激しいヒョウ&雷で立ち往生)
〜PM14時30分 八合目(赤岩八合館)〜PM15時30分七合目(日之出館) 遅い昼食
〜PM18時 御殿場口登山道着









富士アザミと富士山
お盆の頃には
この花も満開になるでしょう。



今回の御殿場口富士登山は、アキ伍長の富士登山引退記念でもあるのです。

思えば3年前、富士宮口から雨の中を登ったのが最初です。
その雨の登山にくじけず2年目も登ったね、アキ伍長。あんたは偉い!
この年は、須走口から登り、基本的には晴れ、影富士も見ることができました。
この時は、キョン隊員も何と登頂に成功しています。
昨年は河口湖口を登りました。
この時は、お鉢廻りも実施し真の富士山頂である剣が峰(3776m)を制覇しました。

そして、今年は最後の登り口である、御殿場口からの挑戦です。
果たしてその結果は!?







御殿場口登山道はこんな感じ
の登りが続きます。





俺たちは今回で24回目の富士登山ですが、この御殿場口を登るのは初めてです。(下山したことは1回あり)
ですから、コースの状況は分かりません。
大まかな予定は立てましたが、もちろん予定通りにいきません。
行けども行けども富士山は近づきません。
しかも、ここは宝永山の火山灰で土がふかふかなのです。
慎重に登らないと、なかなか進みません。体力も消耗します。







日の出後の幻想的な光景です。
天国みたいですね。




夜明け前は満天の星空、ご来光も見ることができ、青空が望まれ、気持のよい風も吹いています。
夏の富士山は比較的天候は安定してるけど、何かエネルギーが溜まっているような天候です。

何でかって。そう、風が無さすぎるのです。
この御殿場口は、歩く距離が片道11kmと他の登山口の2倍ありますが、山小屋が3軒しか
ありません。
ですから、雷等がきてもすぐ避難できないのです。
こんな隠れる場所も無い所で雷なんかに遭ったら最悪です。
命の危険もあります。

こんな時はさっさと登って降りてくるべきです。
遅くとも15時には登山口に下山していたいと思いながら登っていました。







意外に急な傾斜が続く登山道です。
岩場は無いのですが、単調に続く変わらない
風景に能がマヒします。
山頂は歩けど歩けど近づきません。




この御殿場口は、確かに登山する標高差が2,300mくらいあり他の登山口より1000mも余計に
登らなければならない辛い登山口なので登る人が極端に少ないのです。
しかし、人が少ないのでマイペースで登れる利点があります。
且つ、途中から登山道と下山道が分かれるので、渋滞を起こすことはありません。
更に、下山道が大砂走りとなっていますので、富士登山の最大の難関である
下山の苦しさが少ないのです。

以上のメリットとデメリットを総合すると、この御殿場口が他の登山口に較べて極端に
登山者が少ない理由は見当たりません。

それでは何故、登山者が少ないか。 今回登って良く分かりました。
それは、山小屋が他の口に較べて圧倒的に少ないからです。







山小屋の物資はご覧の
ブルトーザーに積んで
運び上げています。
このブルトーザーは遅いようで案外早いんです。


山小屋と言っても宿泊できる有人の小屋でなくても良いのです。

今回、男女合わせて11名で登りましたが、一番困ったのがトイレなのです。
次に、不安なのが天候の急変です。
雷等が発生しても、御殿場口は避難する所がないのです。

できれば、水や軽食の自販機があればかなり助かるでしょうね。

そうです、無人の避難所兼トイレが標高200mに1ヶ所くらいは欲しい。

特に、太郎坊から7合目の小屋までの間の標高差1000mの間に設置
して欲しいと思います。

ブルトーザーで荷のあげおろしをやっているのだから、可能でしょう。

このままだと、御殿場口の登山者はますます少なくなっちゃうよ。








快晴です。
紫外線予防に日焼け止めを
塗りたくります。
これを塗らないと皮膚が
ケロイド状に焼けて大変。



夜の富士山は、寒さとの戦いですが、昼間の富士山は暑さと日射との
戦いなのです。
もっと言えば、共通の敵は気圧の低さ(空気の薄さ)がありますが、ここでは論じません。

今回のメンバーは自転車ツーリング部隊が主力となっていますので、日焼け対策は
皆案外とできていました。
太陽が照りつけている環境は気持ちが良いものですが、日焼けが命取りになります。
直射日光によって体力がものすごく消耗するし、下手しますと日射病や熱射病になってしまいます。
そんな状況を防ぐ一手が、日焼け止めクリームです。

クリームを塗るのは面倒ですが、その効果は絶大ですので是非実行してください。
日焼けがある程度防げれば、体力は消耗しないといっても過言ではありません。
もちろん、水分補給と糖分補給は定期的に実施する必要はあります。
(逆に言えば、水分補給と糖分補給を十分していても、日焼けにより体力は消耗
しちゃうということです)






キョンちゃん高山病にかかり
Fさんと下山することに。
高山病は、下山しないと治りません。




高山病になる原因は様々です。
まずは環境です。
気圧が低い。空気が薄い。
次に体調です。
睡眠不足。疲労。など。


また、高山病は体力が有る人でもなってしまいますので、上記原因プラス
高山に弱い体質も関係します。

まあ、何れの原因にしても高山病にかかったら、下山しない限り治りません。
船酔いが、下船しないと治らないのと一緒です。

しかし、何れも下山・下船すると見事に治っちゃうんです。

ここで高山病について、もう少し述べます。
軽い高山病の症状として、

@手や足がムクむ
Aあくびが頻繁にでる
Bちょっと頭が痛い
Cだるい

などの症状が出ます。

俺たちの経験則から言えば、
気圧が低いことからくる高山病は下山で、空気が薄いことからくる高山病は
指導で治ると思っています。

いつも言っていますが、空気が薄い富士山では呼吸方法が大切なのです。
気圧が2/3しかありませんので、意図的に呼吸しない限り酸欠になってしまうのが
ここ、富士山なのです。
じっとしていても酸欠になってしまう環境なのです。
ましてや、登山をしているなら、それなりの呼吸をしなければなりません。
まずは腹式呼吸。女性は胸式呼吸をしているので腹式呼吸に変える必要があります。
更に、意図的に息を吐き切る必要があります。
沢山息を吐いてこそ沢山空気が肺に入ってくるのです。

ちょっと大げさなくらい意図的に呼吸をし且つ一歩一呼吸するペースで
呼吸をします。
そうすれば、高山病になんかなりませんし、足も十分動きます。

逆にそうしないと、足には乳酸が溜まってしまい、すぐ動けなくなっちゃうし
ひいては高山病になってしまいます。







やっと山小屋がある七合目に到着です。
この御殿場口登山道は、2400mも登らにゃ
ならないのに、山小屋は3軒しかありません。

登山客が少ないので山小屋が少ないのか
山小屋が少ないので登山客がすくないのか?
そもそも、標高差があり過ぎる辛い登山道
なので登山客が少ないのか。

今回の登りで、一つの仮説ができました。



御殿場口7合目は3100m。
登り口の太郎坊(1400m)から1700mも登ったんだね。すごいぞ!皆さん。
会社のビルが30階建で約100mですので、その17倍も登ったんですよ。
もっと言えば、東京タワー(333m)を5回登ったのですよ!

すご過ぎるんですが、まだ600mも登らないと頂上に着かない。
でも、あと、たった600m登れば頂上だよ!

しかし、写真を見て分かるようにかなりの傾斜だよね。
青い柱と富士山の斜面の角度を見ると、45度くらいあるんじゃないの。








7合目の小屋前にて集合写真
バックには積乱雲が発達しつつあるじゃないですか。
実は、この小屋で休憩している時、雹(ヒョウ)が降って
きてビックリしました。
この時はすぐ止みましたが、この後遭遇する
地獄の世界の序章だったのでしょう。




3000mを越えると、もうアルピニストの世界です。
日本第2の高峰である南アルプスの北岳が3193mですので、ここはもう一級の
高度なのです。
写真からも高い所だと感ぜられるでしょ。

今、思えばここで以上の事を説明して、ここからの行動に関する注意点を
説明すればよかったと思います。(次回以降は、もちろんそうしますよ)








赤岩八合館にやっと到着
この頃になるとガスに包まれ視界はなし
雨も降っています。
何やら遠くで雷鳴も轟いています。





赤岩八合館の標高は3300mですので、ここまで来れば頂上は真近です。(あと約400m)
でもねー。ここからが勝負所なんです。
この赤岩八合館から頂上まで90分と掲示されてますが、個人差が顕著に出るのが
ここからの登りなのです。
空気が薄いのが身をもって感ぜられます。
疲労もピークに達しています。
休みたいのは分かるけど、勝手に小屋に入って靴まで脱いで休んでいるお前!!
それを見た瞬間、ブチ切れました。

天候はガスに包まれ、雨模様。下手すると雷雨になりそう。
こんな状況なので、登るなら即登らにゃならないし、下るなら即下らにゃなりません。
休んでいたら、間に合わないと直感的に感じた俺たちです。

本来であれば、一同集合し、この状況を説明すべきだったかもしれません。
でも、その時は、そんな余裕もなく頂上に行ってしまう旨をメンバーの一人にジェスチャーでし
休み無しで頂上を目指してしまいました。
今思えば、ちゃんと説明して然る後に頂上を目指せばよかったと思いますが、
その時は何故かそのような気になりませんでした。(俺たちの不徳の致すところです)
この点に関しては、総括で対策を打つこととします。








ここまで来れば、頂上はそこです。
鳥居を潜った所が御殿場口頂上です。
かなり早いペースで登りましたので八合目
からおよそ1時間で到着です。




八合目から頂上までは、個人行動となった為、フルスピードで登ります。
天候は雨が降ったり止んだり、且つ雷鳴が轟いています。
明らかにヤバイ天候です。
ノンストップで必死に登り、御殿場口頂上に到着です。









御殿場口頂上から火口を望む。
この時点では、主に富士山の北側で雷鳴が轟いていました。
何か危険な雰囲気が漂っていましたので
休憩は無しで、富士宮山頂へ。(約3分で到着)




頂上は幸いガスっておらず、御覧の通り火口が見渡せました。
雷はどうやら富士山の北側で轟いているようでした。
でも、何時近づいてきてもおかしくない状況です。
ここも、1枚写真を撮っただけで富士宮口頂上へ向かいます。









富士宮口頂上には、浅間大社の奥の院と山頂郵便局があります。
まずは、郵便局へ立ち寄り
いつもお世話になっている「初後亭」宛に暑中見舞いを出します。
住所はうろ覚えでしたが、適当に書き投函しました。
果たして着いたでしょうか。
そう言えば、差出人を書きませんでした。

そう言えば今回登っている「ファイナル」の登頂目的が
この浅間神社で安産のお守りを買うことだったことを思いだしました。
無事登れれば良いけど、途中断念したらまずいと思い
念の為に「安産のお守り」を購入しました。





普通なら、折角ここまできたのですから測候所跡がある真の富士山のピーク剣が峰に行く所なのですが
近づいてくる雷鳴が危険の予兆を知らせています。
天が速攻退去の指示を出しているように本能的に感ぜられましたので、用事をさっさと済ませて下山開始です。

今思えば、剣が峰に行っていれば、ちょうど富士宮口山頂小屋あたりで雷に遭遇していた
ので、そこで待機し、然る後に下山すれば問題なかったとも言えます。

でも、剣が峰に行かず下山した。
これが運命っていうものでしょう。







あっと言う間に雹(ヒョウ)が、何と積もっていきます。
雪じゃないんですよ。
こんなでかい氷の粒が空気中を動けば静電気が
発生するのは当たり前。
事実、雹が強く降っている時は、稲妻もそこらじゅうで
光っています。
雹がこんなに降っている現場にいることは初めてですし
雷にこんなに近くで遭遇し、且つこんなにたくさんの落雷
に遭うのは生まれて初めてです。









雷も大分近くなってきたので、急いで下山開始です。
9合5勺あたりでメンバーと遭遇。雷嫌いなアキ伍長がビクビクしながら登っています。
その頃は雷があきらかに接近していたので、
登頂は無理と判断し、アキ伍長に下山命令を出します。
メンバーは頂上を目指したがっていたので
休憩を取らず、30分で登り下山することを条件に登山を許可。
(雷がなかったら、もう一度登り直しても良いと思っていましたが、雷が激しかった為断念)

暫く下っていると、近くで雷が鳴ったと思ったら
雹(ヒョウ)が降りだしました。
この雹の降り方が尋常ではありません。
直径1cm以上ある氷の粒が音を立てて降ってきます。
周りに避難する小屋や遮蔽物がなく体にもろに雹があたります。
この雹、でかくて当たると痛いけど負傷するほどではなかった。
しかし、なかなか止みません。
しかも、土砂降りの雹なのです。
30分以上降っていたんじゃないかな。
(そのせいで、写真のように何と雹が積もりました)

俺たちは、雹に遭遇することが今回が初めてで且つ
その激しさに度肝を抜かれてしまいました。
更に、激しい雷です。
爆撃を食らったように、そこここで雷鳴が轟き、空気の
震動波が全身に伝わってきます。
こんなに近くで雷に遭ったのも生まれて初めてです。
怖がるアキ伍長に「大丈夫だ」と励ますものの、何の根拠もありません。
暫くはアキ伍長と俺たちだけで、心細いのなんのって。
寒いし、痛いし、怖いしで生きた心地がしません。
「ああ、アキ伍長と2人でここで心中か」「でも、まだ死にたくないな」
などと考えていたら、隊長とOJが降りてくるじゃないですか。

4人になって多少は心強くなったものの、
天候は更に悪化してきます。

「ピカ バーン」と腹に堪えるような凄まじい雷に、ノックアウト寸前です。
「へそを取られるってこういうことなんだろうな。」
などと、動揺しながらも変に感心していました。
その時撮影したのが、右上の写真です。 雷が最接近していた時ですので
これが精一杯でした。
後から思えば、ビデオ撮影や、デジカメのビデオモードでその迫力ある
情景を記録しとけば良かったと思います。
でもねー。記録より記憶に残る出来事なのですよ。

あの時撮影したとしても、現場にいる怖さを表現することはできないでしょう。






雹(ヒョウ)もやっと止み、雷も若干弱まりましたので
下山開始です。
何か雪山を歩いてるみたいですね。


いつまでも、こんな高い所にいても寒いし下手すると凍え死んじゃう恐れがありました。
ちょっとは雷も遠ざかった気がしましたので、意を決して8合目小屋を目指して下山します。

たまに近くで雷鳴が轟きますが、さっきの雷に較べると大したことありません。
そう言えば、雷が大大大キライなアキ伍長がちゃんと下山してるじゃないですか。
今の雷でも平地ではなかなか味わえない凄まじい迫力があるのですが・・・。
人間、やはり慣れちゃうんでしょうかね。

これで、アキ伍長も街中の雷ごときに負けない立派な精神を宿すことができました。
めでたしめでたし。

しかし、無事小屋に着けて良かった。










御殿場口の大砂走りです。
雄大な風景が前面に広がっています。
雷雲も去り、雨で洗われたクリアな空気
が爽やかでした。





何とか皆、8合目の小屋に到着しましたが、ここはまだ3300mもある高所です。
2000mもこれから下らなければならないのです。
いつまでも小屋で休んでいる場合ではありません。
30分かけてやっと説得し下山にこぎつけました。
いやいやー、リーダーって大変です。








やはり富士山はでかかった。
そして、この御殿場口登山道は長かった。
やはり山小屋に一泊した方が良かった
と悔やまれます。



御殿場口の大砂走り。皆さん堪能されたでしょうか。
あんなにでかい砂場は、そうそうあるものじゃないよ。
しかし、皆無事で本当に良かったよ。
あんなに凄まじい嵐に遭遇するなんて滅多にあるものじゃないけど、
生還できたことに感謝ですよ。







明日見湖に咲く蓮の花です。
早朝6時に散歩すると、散策する方々や
釣りの方々等が沢山いました。
ここは、富士吉田の憩いの場なのでしょう。




そして、やっと本日宿泊する宿である、明日見湖温泉に到着です。
ここは、またまた、サカヤンが発見した格安の穴場旅館なのです。
何と夜食付きで一泊3300円也。
食事は「ほうとう」で美味い。

また、ここのマスターは鍼灸師の先生でもあり、膝を痛めたミヨチャンも
1本鍼を打ってもらい、かなり楽になったとのことです。






今回の富士登山のメンバーです。
よく見ると、B田がいたり、坂ヤンが
いなかったりとメンバーが変化しています。




俺たちのページには珍しい集合写真ですね。
まあ、今回はみんな生きて下山できたので、その記念にいいでしょう。
(そう言えば、サカヤンはまだ8合目にいるんだった。でも今日は天気がいいので
無事下山できるでしょう。(無事下山しました))






鍼の先生でもある宿の亭主は、大の猫好き。
写っている猫は人間で言えば100歳を
越えているとの事です。



そうそう、この明日見湖温泉はネコがいっぱいいることでも有名らしいよ。
ネコ好きには最高じゃないでしょうか。
反対にネコ嫌いには・・・?
まあ、この宿はコストパフォーマンスが良いので、次回はサカヤンのギターコンサート場
として皆宿泊しよう!




今回の富士登山総括



今回で24回目の富士登山ですが、今回の登山は自然の怖さを始めとして、登山計画、登山リーダー
のあるべき姿等で再考させられる事が多かった登山だと言えます。




1.富士山の危険について

富士山に限らず山は非日常の世界であり、自然は人間に対し時には優しい
、時には厳しい顔を見せてくれます。

非日常的な場に身を置く訳ですから、それなりの装備をしなければなりません。

間違っても日常的な格好をして臨んではいけません。

これは言ってみれば「掟」(おきて)ですので、違反した場合自然から
何らかの形で制裁を受けるケースが多いのです。

@今回の富士登山においても例外でなく掟を破ったことによる制裁がありました。

A.山では基本的には長袖、長ズボンを着、環境からの攻撃に備えます。

今回の場合、上半身がTシャツであった為、アブの攻撃を数箇所受け、
その毒で腕がかなり腫れる事故がありました。

B.山では急激な天候の変化に備える為、雨具は必携品です。

今回の場合、雨具を持っていかなかった為、突然の天候の急変に対処できず、
体が濡れ危うく遭難しかねない状況となりました。

 更に今回の富士山では積乱雲の影響で次のような厳しい気象変化がありました。

A  雹(ヒョウ)

直径1cmくらいの雹が1時間くらい降り、5cmくらい積もりました。

30分以上雹に打たれましたが、雹に当たって死ぬことはないでしょうが、体にあたると痛い。


B 
雷(カミナリ)

雹と同時に雷が近くで轟きだしました。

主に南西の方向で落雷が多く見られましたが、その音といい、空気から伝わる波動といい、
強い光といい、ほんの近くで発生した雷はけた違いに恐ろしいものでした。

強く降る雹と、爆撃のような強い雷によって登山道で身動きできませんでした。

雷にへそを取られるとは良く言ったもので、至近に落雷した時はへそを取られたように体から
力が抜けてしまいました。雷に打たれて何時死んでもおかしくない状況でした。

実際、隣の登山道の富士宮口6合目付近では落雷により、死亡者が出たそうです。

C  低い気圧・薄い空気

個人差やその日の体調により高山病にかかるケースがあります。

今回は、1名高山病になり下山させました。

D  その他の危険

最近は発生していませんが、落石による事故が発生しています。

落石事故が発生する前は、4つの登山口全てに下山用のルートである砂走りがありました。

しかし落石事故により河口湖口の砂走りが閉鎖、続いて富士宮口の砂走りが閉鎖されました。

日焼けによる日射病、熱射病、転倒による怪我なども考えられます。

富士山は火山ですので噴火の危険もあるでしょう。





2.登山計画について


富士山の最後の登り口である御殿場口は、今回初めて登りました。
ですから、登山計画は各HPから得た情報をもとにエイヤで作成したもので
とても10人以上を引率する緻密な計画ではありませんでした。
何も事故が発生しなければ、ずさんな計画でもOKなのです。

しかし、今回のような雷と雹(ヒョウ)に対し、その対処法がありませんでした。

それでは、今回の計画はどうすれば良かったのか?

そうです、原点に帰るべきなのです。
山では「早立ち早着き」が鉄則なのです。

今回は早立ちでしたが、17時頃登山口着という計画でしたので、
午後の雷が発生し易い時間に活動するという、無謀な計画でした。

ですから、方法は2つです。

@スタートを早くする

今回は3時40分登山開始でしたが、このスタートを早め前日の23時登山開始とする。

夜間登山となりますが、御殿場口の低さを考えますと寒さと気圧の低さという脅威が
少ないので夜間登山は問題無いでしょう。
この時間帯で登れば、14時には登山口に下山でき、まず問題ないでしょう。


A山小屋に宿泊する

これは、いままでの俺たちの登山方法です。
昼過ぎ頃には小屋に到着し、酒でも飲みながらゆっくりする。

この登山方法が一番いいのでしょうか。
今回は、下山後、宿で大騒ぎしたかったので、山小屋泊はやめたのです。
富士登山を成功させたいのか、ただ皆で行動して楽しみたいのか
何れかをちゃんと選択すべきだったのですね。
両方、成功させたいという、スケベ根性が禍したのだと思います。





3.登山リーダーのあるべき姿


今回の登山で、一番悔やまれるのが、八合目の小屋に到着した時
ミーティングを開くべきだった事です。

メンバーの体調、装備チェック。天候の状況説明。進退の方針説明。

などを実施し、然る後に隊を分ける、下山するなどの指示をすべきだったと思います。

今思えば、その時以下の指示を出して行動すべきでした。

@隊員の体調チェック 装備チェック
 体調不良者は山小屋に待機命令
 装備不備者には山小屋待機者から不足物を借り受ける

A隊を分ける
 天候の悪化が予想された為、アタック隊 通常登山隊 小屋待機隊
 に分けて行動すべきでした。

因みに今回のメンバーを振り分けると以下の通りです。

アタック隊 :ファイナルウェポン OJ 俺たち
通常登山隊:隊長 ミヨ サカヤン(合羽を借りる前提)  
小屋待機隊:光 アキ

アタック隊の条件は、山小屋での休憩なしで即スタート。体力が
十分ある。雷に強い 等々・・・。

こうすれば、今回は3名登頂できたと思います。


それでは、何でこうしなかったか、こうできなかったのか。

@登山リーダーの立場、権限をメンバーにちゃんと説明していなかった。
A俺たちも、富士登山でこのような生死に関わる場面に初めて直面した
 ので現場で対処できなかった。
B登山という究極の場面と、日常の区別を十分リーダーが認識できていなかった。


次回以降は、今回の教訓を十分生かして富士登山を実施します。

ああ、しかし今回の富士登山が無事に終了できてよかった!