富士登山ハンドブック 

                                                   製作 俺たち

このハンドブックは俺たちが企画する富士登山に参加される方を対象としています。
従って、富士登山ツアー等でよく行われている夜間登山者は内容を取捨選択して参考にして下さい。
このハンドブックに記載している事柄は俺たちが過去13回富士登山を実施した経験に基づくものであり、もしかしたら間違った記載があるかもしれません。その際は是非ご指摘下さい。
ご指摘内容を吟味させて戴き、訂正すべき点は訂正致します。
                                                   2003.8.13


知っておくと便利な 富士山 予備知識(1)


◆標高 3,776m(剣が峰) 富士山測 候所があるピークが剣が峰です。
 従って、登山口のピークは3,700mくらいしかありません。真の頂上をめざす方は富士山頂の火口を回る、お鉢廻りをする必要があります。(時間 約70分)

◆環境 日の出の頃で頂上付近で約5度。風速10m。 気圧650hpa
真冬並みの寒さで風が強いので、夜はかなり寒い。気圧も地上の2/3しかありませんので高山病になる恐れがあります。しかし、昼間は風も弱く、気温も20度くらいあるので寒くありません。(逆に暑いくらいです)今回は、基本的に昼間活動しますので、寒い思いはしません。

◆富士山を祀っている神社は  浅間神社(せんげんじんじゃ)です。
 浅間神社の本宮は富士宮市にあります。その奥の院が富士宮口登山道の頂上にあります。
祭神は「咲耶此花の命」(さくやこのはなのみこと)で、女神です。

◆代表的な登山口は次の4つです。
 河口湖口(吉田口)(北側) 須走口(東側) 御殿場口(南東側) 富士宮口(南側) それぞれの5合目の標高は
    2,300m          2,000m     1,300m       2,400m  です。
一見、今回登る須走口は不利なように見えますが、この300mの差が気圧の順応に効きます。


知っておくと便利な 富士山 予備知識(2)


◆3大噴火  延暦 貞観 宝永の噴火を言います。
延暦噴火は、主に北東面に溶岩が流れ、今で言う剣丸尾溶岩台地を形成しました。
貞観噴火は、北西面に溶岩が流れ、青木が原溶岩台地を形成しました。(その後、森となり青木が原樹海が形成されました)
宝永噴火は、南東面の宝永火口で爆発的な噴火が起こりました。火山灰は江戸の町でも数センチ積もったと言われています。 この噴火は大地震後、50日経過して発生した模様です。            恐らく、今回も東海地震後に富士山の噴火があるでしょうね。

◆影富士  今回登山する須走口は東側の登山道なので夕方になると東側の雲海に富士山の影が写ります。陽が沈むに従って影も長く大きくなっていきます。毎回見られるものではないので、見られたらラッキーです。(因みに、2000年に登ったビデオ記録では、この影富士が見事に撮影されています)

◆合目について  富士山では登山道の現在地を示す基準に〜合目という単位が使われています。
たとえば、富士山五合目みたいに使われています。
それでは、この「合目」って何かご存知ですか?
諸説ある中で、バスガイドから聞いた説をご紹介しましょう。
江戸時代、富士講が栄えていた時、夜間登山でカンテラを使用して登っていました。
そのカンテラの油の1合が無くなった場所を1合目として頂上まで1合毎に2合目、3合目と順番に区切ったとの事です。


準備するもの 〜ものの準備@〜


@靴・靴下 キャラバンシューズ的な靴があればベストです。靴下は登山用の靴下を2枚重ねすることで、靴擦れを防止できます。下山後のサンダル。

Aスパッツ 須走口のくだりは砂走りとなっており、くるぶし位まで砂礫で埋まりますので、これがないと靴の中がすぐじゃりじゃりになります。

Bザック 基本的に両手には荷物を持たないで登りますので、手提げは不可です。

C雨具 上下分離のセパレーツタイプのカッパ。ちょっと高いですがゴアテックス素材のカッパであれば雨でも蒸れずに快適な登山となることでしょう。今回の登山では防寒用としても使用予定。ゴルフでも使用可能ですので、この機会に購入してはいかがでしょう。

D帽子 昼間の富士山はかなり日差しがきついので、帽子かタオル等で日よけが必要です。

E軍手 岩の斜面がありますので、ご用意ください。

Fタオル 登山用に1〜2枚 下山後の温泉用のバスタオルを1枚用意しましょう。

G替え下着 かなり汗をかきますので、小屋で着替える下着を一揃え。下山後の替えの下着を一揃え準備ください。

H服装 長袖 ・長ズボン(ジーパン不可)。Tシャツ。下山後の替えの上下。


準備するもの 〜ものの準備A〜


I防寒具・懐中電灯 昼間の行動ですので今回は必要ありません。

Jステッキ 記念の金剛杖も良いですが、山用のステッキを2本使用することがお勧めです。

K薬 常備薬は各自持参ください。 

L水 500mlのペットボトルを最低4本ご用意ください。(C1000タケダ、アクエリアス等のアイソトニック飲料3本+ミネラルウオーター1本)不足した場合はちょっと高いですが小屋で購入してください。
※まだ試していませんが「バーム」が脂肪を燃焼させるのに有効だと思われます。今回試して見ます。

M食料 行動食としてキットカット等の甘いもの、ウイダーインゼリー2パックなどを持参ください。
初日の昼食はコンビニに寄って購入します。(御殿場〜富士アザミライン入り口間にコンビニ多数あり)
夜食・朝食は小屋の食事がでます。(自家製の米でかなり美味しい)

Nビニール袋 ゴミは全て持ち帰るのが基本です。(小屋で購入した物のゴミは引き取ってくれる場合があります) ゴルフ場の風呂にあるようなビニール袋に衣服を入れた方が雨の時衣類が濡れません。

Oちり紙 水溶性のティッシュペーパー又はトイレットペーパーを使用分持参ください。通常のティッシュペーパー は水に溶けず分解しずらいので、ご協力下さい。
 
P酒 つまみ 等 小屋で売っていますが、安くいっぱい飲みたい方は持参ください。

準備するもの 〜心・体の準備〜


@Walkingの実施 突然ハードなトレイニングを開始しても逆効果です。Walkingを実施して戴き、長い時間(連続で1時間程度、休みなし)歩ける基礎体力をつけた方が有効です。
この連続1時間Walkingで有酸素運動能力の向上が計れ、富士登山に有効です。

Aコンディションの確保 何をするにもそうですが、万全な体調で富士登山に臨みましょう。日頃から、仕事がお忙しいとは思いますが、富士登山の前日くらいは早めに帰宅されて十分な睡眠をとって下さい。コンディションが良ければ、富士登山は50%成功したようなものですから。
山小屋の状況-1


1.照明  自家発電をしていますので、夜は蛍光灯がつきます。

2.トイレ トイレは部屋の中にはありません。外のトイレを使用します。夜登ってくる登山者の為にトイレを含む小屋の外は明るいので特に懐中電灯は必要ありません。

3.食事 夜食はカレーライス 朝食は海苔、玉子、味噌汁等の粗食です。しかし、ご飯は食べ放題ですので有難いです。(運動後の食事なので美味しいです) 一番有難いのがお茶飲み放題!!

4.売っているもの 金剛杖などの登山記念になるもの  食事 ラーメン お汁粉 甘酒 水 お酒 ビール などなど  担いで登る事を考えると安いかも。(タバコは売っていませんので愛煙家の方は買い置きをお願いします。)

因みに値段は、
うどん 900円    カップラーメン 500円
カレーライス 1300円   味噌汁 500円
水(500ml) 500円    日本酒 700円
ビール 700円       コーヒー 500円 です。 

7合目の小屋 太陽館ではバナナ 1本200円も売っていました。かなりおいしそうでしたよ。


山小屋の状況-2


5.寝室 押入れのような寝室です。 布団はありますが、2人で1つの布団の配分です。シュラフ(寝袋)を持って行く余裕がある方は持っていった方が熟睡できます。

6.消灯時間 22時が消灯でした。頂上でご来光をみる方は午前1時頃には宿を出発しています。    しかし、8合目から、河口湖口登山道と合流するため、渋滞をおこし、思惑通り頂上でご来光をみれる人は少ないようです。
今回は、ご来光は小屋からみますので4時30分頃まで寝れます。朝の屋外はかなり寒く、風も強いので、日の出直前まで小屋で暖をとるのがお勧めです。

7.宿泊費 1泊2食付きで7350円(消費税込み)です。素泊まり(食事なし)は5250円ですが、今までの経験では、食事時間での満足度を考えると絶対2食付が徳です。

8.その他 標高が高い(3250m)ので酔いがすぐ回りますので注意しましょう。ぐっと飲んで、2〜3時間熟睡して、あとは体を休めるのがコツでしょう。

※言い忘れましたが、富士山には基本的に水はありませんので、山小屋にはお風呂はありません。洗面用の水もありません。1日くらい顔を洗わなくても大丈夫ですよね。


登頂成功のポイント-1


@5合目 須走口新5合目は比較的観光地化していませんので、ほとんど何もすることが無いのですが、高度順化の為に30分くらいはぶらぶらします。

A登り始め 張り切る気持ちは分かりますが、これから登る高さ、距離、時間を考えて下さい。
高さは1,700mくらい。距離は6kmくらい。時間は6時間くらいです。
ともすると、登り始めに張り切りすぎて、途中でバテて高山病になり下山せざるを得ないなんていうケースが良くあります。「こんなにゆっくりで良いの?」と思うくらいのペースで丁度いいのです。

B敵は気温と風と気圧 夜は寒さ(5度)+風(風速15m+)、昼は暑さ(20度)でやられてしまいます。今回は昼間の登山ですので、暑さ対策ですが、日除けの為に帽子やタオルを装着し、水分補給をしっかりやればOKです。

気圧は7合目を過ぎるとその低さが体感されます。650hpa(地上の3分の2)しかありませんので、息が切れてすぐ疲れてしまったり、高山病になり頭痛・吐き気に襲われてダウンしてしまう人もいます。

これを防ぐ為には、意図的な呼吸が必要です。地上の3分の2 の気圧ということは、3回呼吸しているのに2回しか呼吸していないのと一緒なのです。呼吸の回数を増やす事も手なのですが、一回の呼吸で沢山の空気を肺に入れる事の方が効きます。その為には、肺の空気を吐ききる事です。いっぱい吸うにはいっぱい吐く事がポイントなのです。慣れるまではちょっと疲れますが是非実行して下さい。 


登頂成功のポイント-2


C呼吸方法 特に7合目を過ぎてからですが、1歩踏み出して息を吸い1歩踏みだして息を吐くペースの呼吸をして下さい。沢山呼吸しますと喉が渇きますので、水分補給も適宜して下さい。

D行動食 人間の体に蓄積されている糖分(血中のブドウ糖、肝臓のグリコーゲン)は約2時間で消費されてしまうと言われています。今回は1日目に約5時間、2日目に約8時間行動しますので、糖分補給は重要です。
糖分+脂肪のエネルギーで登ってこそバテずに登頂するポイントなのです。行動食のお勧めは、キットカット(1袋 300円くらいでスーパーで売っている)とウイダーインゼリーです。

E休憩方法 短い休憩の時は座らず立って休憩した方が、次の行動開始時が楽です。(特に7合目以上は、呼吸を整える為に立ったままの小休止が有効です)

F下山 下山は本当に難しいです。須走口の場合、楽しい砂走がありますが、恐らく半分くらいで足の痛みで苦しむ事となります。
そうならない為に、早く山を降りて温泉に入りビールを飲みたい気持ちもわかりますが、下山も意図的にゆっくり降りて下さい。

G根性 最後は頂上を極めたい思いの強さです。

富士山頂でのお楽しみ

@お鉢廻り 約90分で一周できます。写真の奥の一番高い峰が剣が峰で真の富士山頂です(3776m)。
富士宮口山頂からはすぐなのですが、須走口・河口湖口山頂からは真向かいなのでお鉢廻りをして始めて富士山を極めた事となります。

Aヒノキメール 剣が峰の麓に富士宮口山頂がありますが、そこに富士山頂郵便局があります。そこから、ご覧のようなヒノキメールを出す事ができます。恋人に・愛人に・ご家族に出してはいかがでしょう。富士登山の一生の思い出の品になること間違いなしです。
因みに、山小屋近くでは携帯電話・iモードも使用できます。


B大沢崩れ 剣が峰の向こう側の山肌にある沢は大きく崩壊しており「大沢崩れ」と呼ばれています。
富士山を西側から(朝霧高原方面)見ると頂上付近から山を2分するくらい縦に深い溝が見えます。それが大沢崩れなのですが、東南方向から見る宝永山火口がある富士山と並んで特異な富士山の眺めです。
その大沢崩れが剣が峰近辺まで行くと上から見えます。(危険なので、近くは立ち入り禁止となっている)すごいでー。

今回の登山行動表はここをクリックして下さい。